〜霧ヶ峰の魅力を次の世代まで〜特定非営利活動法人 霧ヶ峰基金

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6.〜人々がつくり、花々が咲き、鳥たちがうたう〜 草原・樹叢(じゅそう)・湿原
 霧ヶ峰の植生はおおまかに「草原」、「樹叢(じゅそう)」、「湿原」の3つに大きく分けられます。その中でも、皆さんが最初にイメージするのは、「草原」ではないでしょうか?
ニッコウキスゲ
ニッコウキスゲ
ユウスゲ
ユウスゲ
 では、霧ヶ峰にはなぜ草原が広がっているのでしょう?
霧ヶ峰を訪れる人々でもこの問いに答えられる人はあまりいないようです。霧ヶ峰の草原は、北アルプス白馬岳など3,000m級の山々の稜線や山頂付近の高山帯に発達する高山草原(通称「お花畑」)とはまったく性質が異なります。
 高山草原は、森林限界よりも標高が高い場所に発達します。つまり森林が発達できない場所に自然に発達する「自然草原」です。しかし、標高2,000m以下に広がる霧ヶ峰は山地帯から亜高山帯に該当するため、本来はミズナラ林、シラビソ・オオシラビソ林、モミ林などの森林であるはずです。そうです、実は霧ヶ峰に広がる草原は人間がつくりだした草原だったのです。
 霧ヶ峰は、近世以降入会山として利用され、昭和30年代頃まで地元の牧野組合の方々が大鎌で草刈をしていた採草地でした。牛や馬を飼っていた当時は、冬の干草を得る為に朝早くから草刈をし、刈り残した部分には「野火つけ」(火入れ)を行っていました。そのような里山的な管理が行われた結果、この広大な草原景観が保たれてきたのです。このように「放牧・採草・火入れ」など人為的に維持・管理されている草原を「二次草原」(または「半自然草原」)と呼び、霧ヶ峰は阿蘇、秋吉台などと共に日本を代表する二次草原です。また、人間の活動、文化と自然が互いに織り成す「草原景観」とも言えます。
アサギマダラ
アカバナシモツケソウ
アカバナシモツケソウ
 二次草原は本来森林が発達する場所に人為的管理によって作り出された草原なので、その管理が加わらなくなると、植生遷移により森林になります。牛馬を飼わなくなった現在、霧ヶ峰の草原景観を維持してきた「放牧・採草・火入れ」などの人為的管理が行われなくなり、低木類の繁茂により森林化が進行しています。二次草原は全国的に減少しており、環境庁(当時)の第4回自然環境保全基礎調査結果によると、明治・大正時代に国土の約11%を占めていた二次草原は、わずか約3%まで減少しています。二次草原の減少は、草原生態系の減少を意味し、二次草原独特の植物、動物の減少も起こっています。環境省がまとめている日本の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータブック)には、草原性の生物が多く掲載されています。
 霧ヶ峰の草原には1,280種類以上の植物が生育し、ニッコウキスゲやマツムシソウなど上記のような人為的管理に適応した草原性草本植物が多く生育しています。ススキやオミナエシ、カワラナデシコなどの「秋の七草」も霧ヶ峰を代表する植物です。
また、ヨツバヒヨドリなどにはアサギマダラなどの蝶も吸蜜に訪れ、花を咲かせる植物の多さに比例して、蝶の種類も多くなっています。
また、植物の根を食べるハタネズミや、それをたべるホンドキツネなど、植物と動物が豊かな草原生態系を構成しています。
ヒミズ
ヒミズ
マツムシソウ
マツムシソウ
 次に、「樹叢(じゅそう)」とは、草原の沢筋に発達した林のことです。沢筋には石が多く、草刈や火入れなどの管理が行われなかったため、霧ヶ峰本来の自然植生であるミズナラ林やモミ林が生育していると考えられています。その中にはオオヤマレンゲ、ミヤマザクラ、ミズナラなどの木本植物が生育しており、ミズナラのドングリなど木の実を餌にしているリスやツキノワグマなどの動物も見られます。

最後に、「湿原」ですが、霧ヶ峰には日本を代表する八島ヶ原湿原、踊場湿原、車山湿原の3つの高層湿原があり、それぞれ国の天然記念物に指定されています。各湿原はミズゴケを中心に独自の生態系を形成していて、その環境に適応した植物としては「キリガミネヒオウギアヤメ」「キリガミネアキノキリンソウ」などが挙げられます。また八島ヶ池には、シュレーゲルアオガエルやヤマアカガエルが生息しており、「八島湿原の蛙鳴」として「日本の音風景100選」にも選ばれています。
ヤマラッキョウ アヤメ はねるノウサギ
ヤマラッキョウ
アヤメ
はねるノウサギ
5.御射山祭往時をしのぶ歌
7.霧の子孫たち
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